コラム

筋機能を高める栄養はタンパク質だけじゃない。硝酸塩で筋力、筋持久力アップ

「筋肉を増やす」「筋力をつける」ためにどんな物を食べたら良いと思いますか?

 

おそらく、「タンパク質」「プロテイン」「肉」

 

といったキーワードを思い浮かべたのではないでしょうか?

 

えっ?違うの?と思いましたか?

 

大丈夫です。

 

それが普通です。

私だっていきなりそんなことを聞かれたら上述のキーワードを真っ先に思い浮かべますから。

 

ですが、今回は少しマニアックな「硝酸塩」と「筋力」のお話をしていきます。

 

 

発がん性アリは昔の話。硝酸塩の注目の効果とは

食べ物の中でも特に野菜から摂取する硝酸塩は動物実験では発がん性をもつニトロソアミンを生成するため有害物質とされてきました。

 

しかし人間が対象の臨床試験や医学論文などでは発がんに関わるという有意なデータが出ておらず、硝酸塩の摂取と発がんリスクとの間に関連はないと2010年にはWHOで否定されています。

 

むしろ、近年では血管拡張作用やカルシウムイオンの増加による速筋繊維の収縮力の増加などアスリートのパフォーマンスアップや血圧の降下、心疾患のリスクの軽減が認められているなど注目されています。

 

 

速筋繊維の収縮力増加によって膝伸展筋力11%アップ

硝酸塩の摂取量によって膝関節の伸展筋力に有意差が出るのかを追った研究でも1日あたりの硝酸塩の摂取量が最も多かった群(中央値91mg/日)は、最も少なかった群(同47mg/日)より、12年後の膝関節の伸展筋力が11%(2.6kg)強かったと報告されています。

 

さらに椅子から立ち上がって、8フィート(およそ2.44m)先のマーカーを回って戻るという動作の時間を測る「8ft TUG」テストでも4%(0.24秒)速かったようです。

 

アスリートには僅かな効果?その僅かの差が表彰台を左右する

上述の報告は糖尿病患者に行われたもので普段は運動習慣がない人たちを対象にしたものでした。

そこで普段の運動習慣の有無で硝酸塩の効果が変わるのかを調べた研究もあるのですが、どうやら運動習慣があるほど変化量は少ないようでエリートアスリートだとその変化量はわずか0.31%あったようです。

では、アスリートには意味がないかというとそうとは限りません。

確かに統計学的には有意差なしかもしれませんが、その僅かの差が勝敗を左右する可能性があります。

 

硝酸塩はほうれん草や春菊、サラダ菜などといった葉物野菜に多く含まれています。

アスリートは葉物野菜を多めにとって筋機能の向上を目指したいですね。

 

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