アスリートのトレーニングにおいて体幹を鍛えることは常識です。
そんな体幹トレーニングのイメージというとプランクなどの姿勢を数十秒間キープするような「スタティック・スタビライゼーション」と呼ばれるトレーニングですよね。
育成年代はもちろん世界のトップアスリートも積極的に行っているのですごく重要なトレーニングのように思えますが
実は筋肥大には効果が少ないことが証明されています。
筋肥大にはフルレンジが必要
2012年、ブラジルのフェデラル大学のピントらは関節を動かす範囲のことなりによるトレーニング効果についての報告をしています。
40名の被験者をアームカールをフルレンジ(0⇆130°)で行うグループとパーシャルレンジ(50⇆100°)で行うグループに分け、ともに週2回のトレーニングを10週間行いました。
その結果、パーシャルレンジに比べてフルレンジのグループで明らかな筋肥大の増大が示されたのです。
その差はなんと2倍です。
また2013年、デンマーク・コペンハーゲン大学のブルームクイストらはスクワットにおける膝の角度の違いによるトレーニング効果を検証しました。
被験者をフルレンジのスクワット(0⇆130°)のグループとパーシャルレンジのスクワット(0⇆60°)のグループに分けて週3回、12週間継続した結果、パーシャルレンジのグループに比べてフルレンジのグループで筋肉量が優位に増加していたと報告しています。
こういった報告から筋肥大を目的としたトレーニングはフルレンジの方が効果的だということがわかります。
動かないスタビライゼーションでは効果は少ない
では、体幹トレーニングで行われているプランクなどのメニューはどうなのでしょうか?
同じ姿勢をキープするトレーニングは関節運動を全く伴わないため、筋肥大を目的とした場合は不適切であるということがわかりますね。
筋力は筋の断面積の影響を受けます。
運動単位が増えることで神経学的に筋力が増大することはありますが、最も重要なことはやはり筋肥大です。
もちろんスタティック・スタビライゼーションが全く無意味なものではありません。
固有受容器を刺激して外乱に対してのコーディネーションを高める目的であれば一定の効果は望めますが、筋肥大をして身体を大きくしたいのであればスタティック・スタビライゼーションは不適切です。
日本人選手は海外の選手と比べて上半身が小さいと言われています。
フィジカルを強くするためには、まずは身体を大きくしなければなりません。
筋肥大させたいのであれば、スタビライゼーションではなくフルレンジでのトレーニングを取り入れてください。