コラム

野球に走り込みは意味がない。走り込みの意味がない理由をエネルギー代謝で考える

どんなスポーツにおいても力の発生源は下半身ですし

強い下半身はパフォーマンスに大きな影響を与えます。

そんな中で特に野球では昔から

走り込みが大事とされていて

ある程度、年配のプロ野球OBの選手たちは

不調の現役選手たちに対して、決まって

「走り込みが足りない」

と指摘します。

それに対して今の現役選手の中には

走り込み不要論を唱える選手も増えてきています。

その代表がメジャーリーガーとして日本人最高年俸を誇り

自らトレーニングについて勉強し

理論的にトレーニングを積んで

30代中盤にも関わらず、さらなるパフォーマンスアップをしている

ダルビッシュ有投手

です。

他にも同じくメジャーリーグで活躍している

澤村拓一投手も

「走り込みほど無駄なものはない」と述べています。

 

では、野球に走り込みは必要ないのでしょうか?

 

ピッチングは短時間高強度の運動 有酸素系のスタミナは必要ない

走り込みが必要とされる理由として

・下半身が安定するからコントロールが良くなる

・スタミナがつく

この2つが主なのではないでしょうか。

では、まずは後者の「スタミナ」について考えてみましょう。

一般的にスタミナのイメージでいうと長距離走ですね。

野球の投手は1回から9回まで100球以上投げる必要があるため

長距離的なスタミナが必要と考えられていたのでしょう。

しかし、エネルギー代謝を考えると

野球に長距離的なスタミナは必要ないことがわかります。

エネルギー代謝は大きく分けて3種類。

10秒以内の強度の高い運動時に働くATP-CP系

1分程度の中等度の負荷で働く解糖系

そして、長時間動ける低い負荷量で働く有酸素系

があります。

ピッチングでは
全力の80~90%の強度と言われていますので
エネルギー代謝は ATP-CP系となります。

さらに投球間隔は1分以内になることが多く

解糖系も働きます。

そして、議論の的となっている「走り込み」で鍛えられる有酸素系の代謝はピッチングのような

短時間高強度の運動では働きません。

このことからスタミナという能力には

走り込み

は最近の選手の主張の通りに

必要のないトレーニングとなります。

走り込みでコントロールは良くならない 最終的には指先の感触

では、コントロールはどうでしょうか?

よく「フォームが安定するからコントロールがよくなる」と言われていますが

リリースポイントが1度ズレると

ボールがホームベース上に到達するまでに30cmのズレが生じると言われていため

フォームの安定していても、1度の誤差を生じさせないように投げるというのは

不可能です。

最終的にはそういったフォームの誤差を感じ取って

指先でコントロールしているということが言われていますので

走り込みとコントロールの関係性は あまり強くないと考えられます。

しかし、走り込みに全く意味がないとは言えません。
走り込みには

身体のバランスを整える

という意味合いはあると思います。

武道の世界では

「歩くこと。それ即ち武道なり」ということがあるように

歩くという動作の中にあらゆる技の要素が含まれているのです。

ピッチング動作も

歩いたり走ったりする動作の中に必要な動きが含まれているため

なので、軽いジョギングをすることで

ピッチング動作に必要な動きが調整されることが考えられます。

仮に走り込みとコントロールに関係があるのであれば

下半身の強さではなく、ピッチング動作に必要な動きの円滑性と再現性が高くなることで

コントロールが良くなる可能性はあるのではないでしょうか。

 

走り込みは野球には逆効果 球速や打球飛距離が低下する

とはいえ、あまりジョギングをするのは良くありません。

研究でも

持久系の走り込みをすることで

球速や打球飛距離が低下した

という報告がありますので

あくまで調整のためであり、メインのトレーニングにはなり得ません。

もしも、走り込みをするのであれば

持久系ではなく、瞬発力を高めるようなダッシュで走り込むのが良いでしょう。

エポックスポーツ事業部では

エビデンスに基づいてフォーム指導やトレーニングを行います。

正しいフォームやパフォーマンスアップを目指すのであれば

ぜひご相談ください。

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