乳酸・・・
人がエネルギーを作り出すシステムの中でも
解糖系でのエネルギー代謝の際の代謝物で
酸性の物質のため元々は
「疲労物質」
として考えられてきました。
しかし、様々な研究の結果
疲労度と血中乳酸濃度に相関はみられないといった報告がされるようになり
むしろ、乳酸は疲労物質ではなく
エネルギー源である
ということがわかってきました。
しかも、それは筋肉のエネルギー源だけでなく
運動を始めた途端に
脳のエネルギー源になる
ということがわかったのです。
乳酸は疲労物質ではなく、糖の再合成の材料
改めて乳酸とは何かを説明します。
筋肉が収縮する際のエネルギーを産生するシステムは
ATP系
解糖系
有酸素系
の3つがありますが、解糖系でグリコーゲンを
ビルビン酸から乳酸に分解します。
この乳酸は肝臓に戻って糖に再変換されて、再びATPを作り出す材料となります。
これまでは乳酸が溜まり身体が酸性に傾くことで疲労を感じると考えられていました。
身体が酸性に傾くことで筋収縮が阻害されるのは事実ですが
それは乳酸によるものではなく
グリコーゲンを分解する際にできる水素イオンの影響であることがわかっています。
また疲労の原因はそれだけでなく筋グリコーゲンの枯渇やリン酸とカルシウムイオンの結合によって筋の収縮が阻害されるためでもあります。
高強度の運動で脳への乳酸の取り込み量が増える。
運動中の脳に取り込まれる糖と乳酸の量を比較した報告がありますが
運動強度が上がるにつれて糖質の取り込み量は減り
乳酸の取り込み量は上がると報告されています。
このことから乳酸は糖に代わって運動中の脳のエネルギー源になっていることがわかります。
さらに血中の乳酸量が4mmolと8mmolになる運動をそれぞれ行った場合の認知機能について計測してみたところ
後者の8mmolのグループの方が認知機能が高まった状態を長く維持できたという報告もされています。
脳でも超回復は起きる
さて、筋肉では運動をして栄養を補給して休息することで「超回復」によって
筋肥大が起こることはよく知られていますが
実は脳も超回復を起こすことがわかったようです。
脳の超回復でもやはり運動によるグリコーゲンの消費、その後の栄養補給と休息が必要で
超回復を繰り返すことでグリコーゲンの貯蔵量が増えて
脳の持久力が高まるというのです。
そういえば、日本の経営者には運動部出身者が多いと言われていますし
トレーニングを習慣にしている方が多いと言われています。
それはもしかしたら運動習慣によって脳の機能も鍛えられていると可能性もありますね。