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実は逆効果?バランストレーニングでバランス能力は悪くなる

一流アスリートにとって必要な能力は様々あります。

筋力は柔軟性はもちろんのこと

他のコラムでも書いたように視覚認知機能であったり

日本人アスリートに足りないのは身体の強さではなく視覚能力?

 

コーディネーション能力だったり

「運動神経が良い」を構成する7つの要素とは

 

そして、コーディネーション能力の中でもバランス能力は全ての動作の基礎となるため、全てのレベルのアスリートでも必ずトレーニングしていますし、トップレベルになればなるほどバランスが良いのは当たり前の話です。

そして、バランストレーニングといえばよく見るのが

バランスディスクを使用したトレーニングやバランスボールを使用したトレーニングではないでしょうか?

要は不安定化でも姿勢を保持することでバランス能力を高めるということですね。

 

では、今回はそんなバランスディスクやバランスボールのトレーニングは本当にバランス能力を高めることができるのかをお話しします。

 

バランス能力に関わる3つの感覚入力

正しい姿勢制御を行うにはまず「自分がどういう状態にいるのか?」を認知しなくてはなりません。

そこで人には3つの感覚入力があります。

まず一つ目が「視覚入力」です。

周囲にある物体の相対的な位置関係の情報を提供し、それに合わせて頭部の位置や移動をします。

視野内のドアや柱から垂直に関する基準が形成され、視覚入力は最も重要な感覚入力とされています。

 

しかし、先天の盲者や暗所でも姿勢保持をできることから視覚入力以外の感覚入力でも補えることが確認できます。

では他にはどのような感覚入力があるのでしょうか?

 

まずは「体性感覚入力」です。

体性感覚入力は身体と支持面との相対的な空間的位置関係や身体部位間での位置関係の情報源です。

立位での姿勢保持では下肢からの体性感覚入力が重要となります。

 

もう一つが「前庭感覚入力」です。

前庭感覚入力は頭部への加速度の情報源となります。

特に重力加速度の情報により垂直の基準を形成します。

 

 

競技レベルが上がるほどに体性感覚入力に重きが置かれる

この3つの感覚入力の中でどの感覚入力が優位に働いているかは個人差や競技差があります。

例えば体操選手では開眼での姿勢制御で他の競技よりも重心動揺が少ないことから体操では視覚入力が重要であることがわかります。

サッカーではプロとアマチュアで開眼と閉眼での重心動揺速度を比べた結果、閉眼の方がよりプロとアマチュアで有意差が出たことがサッカーでは体性感覚入力が重要であります。

また同じ自転車競技でもロードレースでは視覚入力、マウンテンバイクでは体性感覚入力が重視されていることがわかっています。

 

バランスボードやバランスボールはどこに働くのか?

では、バランストレーニングの代表格であるバランスディスクやバランスボールは3つの感覚入力のどこに効くのでしょうか?

2015年の板谷(北海道教育大学旭川校)の研究で

バランスディスクとバランスボールでのトレーニングはともに下肢体性感覚入力を低下させる。

そして、バランスディスクでは視覚入力を、バランスボールでは前庭感覚入力を高める。

これは外乱によって体性感覚入力への信用性が損なわれたからである

と報告されています。

 

バランスディスクやバランスボールでのトレーニングは安易に行うべきではない

前述のように競技によって重視される感覚入力は違いますが、多くの競技でエリート選手は視覚入力への依存度が低く、体性感覚入力が重視される傾向が報告されています。

よって、体性感覚入力が重要視される競技・・・サッカーや柔道などではバランスボールやバランスディスクでのトレーニングはパフォーマンスを低下させる恐れがあります。

逆に競泳や空中での姿勢制御を重要視される競技ではバランスボールやバランスディスクでのトレーニングは適しています。

 

体性感覚入力を高めるには・・・

何度も言うように競技によっては視覚入力や前庭感覚入力が重視される競技もありますが、多くは体性感覚入力が重要です。

しかし、今までバランス能力を高めると思われていたバランスディスクやバランスボールでは体性感覚入力を低下させることがわかりました。

では、どうすれば良いのでしょうか?

エリート選手は視覚入力への依存度が低いことがわかっていますので、まずは閉眼にして視覚入力を遮断することです。

また、今では危険と問題視されている組体操では体性感覚入力が促通されることがわかっています。

大人数でのピラミッドなどのようなものは危険かもしれませんが、3人程度の少人数での組体操であればリスクが少なく、体性感覚入力を促通する良い練習になります。

また、幼少期であればこのような視覚入力重視の姿勢制御からの脱却に最も重要なのは変化に富んだ自然環境での五感をフルに使った遊びです。

マウンテンバイクのように自然の不整地を走る競技で体性感覚入力が重視されているのが良い例ですね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

スポーツにとってバランス能力、姿勢制御能力は重要ですが、重視される感覚入力には違いがあります。

そして、一般的に行われるバランスディスクやバランスボールのように不安定な支持面でのトレーニングは競技パフォーマンスを低下させる可能性がありますので、担当する選手に合わせたバランストレーニングを行う必要がありますね。

 

 

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