野球のバッティングにおいて最大の醍醐味はやはりホームランですよね?
ホームランを量産するにはやはりパワーが必要なわけですが、実際にどこのパワーが必要なのでしょうか?
よく耳にするのは「脚から始動し体幹→腕→バットへと伝達する」というイメージがありますが本当にそうなのでしょうか?
スイング中のエネルギーの流れ
大学野球選手のスイングを分析したところ、バットスイングの前半では大きなエネルギーは左右の股関節から下部体幹へ流入し、スイング後半ではそのエネルギーが体幹上部へ流入する。
さらに腕を介してバットへ流入することが報告されています。
とりあえず、一般的な「脚→体幹→腕→バット」という伝達のイメージは間違ってはいないようです。
パワーはどこから生まれる?
スイング動作中、各関節ではエネルギーの生成と吸収が行われています。
最もエネルギーの生成量が大きいのは股関節で、次いで体幹での生成が大きくなっています。
体幹部では生成と同等量の吸収が行われているため、バッティングのエネルギー源は左右の股関節と考えられています。
ちなみに上肢の関節はどれエネルギーの生成量は大きくありません。
ホームランバッターのお尻が大きい理由
では左右の股関節のどの筋肉からパワーが生み出されているのでしょうか?
踏み込み側の股関節では・・・大内転筋や長内転筋などの内転筋群、腸腰筋や大腿直筋などの屈曲筋群。
軸脚側の股関節では・・・大殿筋やハムストリングスなどの伸展筋群。
によって、なんと85%ものエネルギーが生み出されていることがわかっています。
特に軸脚側の伸展筋群と外旋筋群によって生み出されたエネルギーとスイングスピードには相関関係が認められています。
上記の筋肉を鍛え、しっかりと動員できるようなフォームを獲得できればスイングスピードが向上しホームランを量産できる可能性があります。
股関節の力を爆発させる圧縮ステップ
では、股関節の力を動員するフォームとはどのようなフォームでしょうか?
こちらはメジャーリーガーの若き大砲のフアン・ソト選手です。
2018年の日米野球で天井直撃の大飛球を上げた選手ですね。
この構えから・・・
軸脚股関節に向かって、後下方に沈み込んでいるのがわかります。
これによってSSC(Strech Shortning Cycle)が働き、通常以上の筋力を発揮することができます。
日本人バッターでは軸脚に乗る時に下方ではなく上方に重心が上がってしまうバッターが多いですね。
そうするとSSCが使えないため、大きな力を発揮することができなくなります。
SSCを使わなくても、あらかじめ低い姿勢で構えておくという方法でもSSCを使った時と同等の筋力を発揮できるようになります。
まとめ
いかがでしたか?
バッティングでは下半身が大事という一般的なイメージと同様の報告がされていました。
しかし、踏み込み脚と軸脚で使われる筋肉は違いますし、鍛えてもしっかりと使えるフォームでないと意味がありません。
日本人は王貞治氏の影響があるせいか、軸脚に乗る時に一本脚でバランスが取れるように始動されることが多い印象を受けますが、実際にはそのフォームでは股関節の力を使うことは難しくなります。
メジャーリーガーのようにしっかりと沈み込み、SSCを使って爆発的な力を生むフォームを身につけてみましょう。