コラム

食べる?食べない?朝食と競技パフォーマンスの関係とは

「1日のスタートとなる朝食が1番大事」

これはよく言われる言葉だと思います。

しかし、ファスティングなどを行う人は

「朝は排泄の時間だから食べない方が良い」

とも言います。

まったく正反対の意見ですが、一体どちらが正しいのでしょうか?

 

その答えの1つとして

「朝食に摂取する炭水化物が少ないと、夕方の持久力パフォーマンスが低下する」

という研究結果が報告されました。

その理由として、摂取量が不足していることが原因である可能性も考えられましたが

そうではなく、「朝に食べないこと」自体がが良くないというもの。

朝食を欠食した分を昼食で補ったとしても、夕方のパフォーマンスはやはり朝食を食べた場合よりも低かったという結果が報告されています。

総摂取量を一致させた上で朝食を欠食させる

朝または午後の早い時間帯に炭水化物に多く含む食事を摂ると、夜間からの絶食を続けた場合と比較して、グリコーゲンの可用性が増加するというエビデンスがあります。

ただし、炭水化物の摂取量と摂取タイミングのいずれが重要なのかは、これまでの研究では明らかでなかっていませんでした。

本論文の著者らは、異なる摂取タイミングで合計の摂取量は同等となるように条件を設定した無作為化クロスオーバー試験にて、この点を検討しました。

研究の対象は、訓練され競争力のある11人のトライアスリートまたはロードサイクリスト(女性1人)。

全員に対し朝食を食べる条件と食べない条件での20kmサイクリングタイムトライアルをランダムで施行しました。

両条件の試験前日に自宅で摂取するための計量食品パッケージを提供。

朝食摂取条件では、参加者ごと個別に設定されたエネルギー要件の20%の標準化された組成の高炭水化物の朝食を午前8時~9時の間に摂取します。

続いて正午~午後2時の間にエネルギー要件の30%に相当する昼食を摂取してもらいました。

朝食欠食条件では、試験前日の午後10時以降は絶食し、当日の昼食のタイミングにエネルギー要件の50%に相当する高炭水化物を昼食として摂取してもらいました。

2条件間で個別化されたエネルギー量は同一であり、朝食に相当する分の栄養素は、炭水化物81.5±0.4%、蛋白質12.7±0.3%、脂質5.8±0.1%とした。水は自由に摂取可能とし、その摂取量は群間差はなかった(朝食摂取条件3.0±1.3 vs 朝食欠食条件2.6±0.8L,p=0.10)。

 

主観的にも客観的にも朝食欠食条件の方がパフォーマンスは落ちている

タイムトライアル試験は、午後5~7時に施行しました。

40%Wmaxで10分間の定常負荷フェーズにて、基質の酸化速度を評価した後、自転車エルゴメーターを用い20km走行テストを行いました。

トライアル中、被験者は残りの距離のみを確認でき、出力などのパフォーマンス関連パラメーターの情報はマスクしました。

また、音楽の聴取や周囲からの声掛けは禁止しました。

テスト中、2,500m走行するごとの心拍数と自覚的運動強度(ratings of perceived exertion;RPE)を記録しました。

また、試験当日は食欲の変化をビジュアルアナログスケール(VAS)で評価しました。

<食欲と酸化速度への影響>

食欲のVASスコアは、起床時と昼の直前では両条件間で同等でしたがが、午前中は朝食欠食条件が有意に高い状態で推移しました。

昼食後はトライアル直前まで朝食摂取条件のほうが有意に高い状態で推移しました。

タイムトライアルに先立って行った定常負荷での試験から、炭水化物および脂質の酸化速度は、朝食欠食条件のほうが有意に遅くなりました。

定常負荷状態でのエネルギー消費率は、条件間で有意差がありませんでした。

<20kmタイムトライアルのパフォーマンスへの影響>

タイムトライアル中の出力は、朝食摂取条件のほうが高値で推移しました。

平均出力は、有意差をもって朝食摂取条件のほうが有意に高かく、トライアルの結果も朝食摂取条件のほうが有意に良い成績となりました。

<自覚的運動強度(RPE)、心拍数、乳酸値、血糖値への影響>

自覚的運動強度(RPE)は、2,500m走行時点で有意差が認められ、朝食欠食条件で高くなりました。

5,000m時点でも朝食欠食条件のほうが高かったが有意ではなく、7,500m以降はほぼ同等でした。

心拍数、乳酸値、血糖値に関しては、有意な差は認められませんでした。

競技が夕方スタートでも、朝食の炭水化物摂取が重要

いかがでしたか?

競技が夕方であったにも関わらず朝食の有無がパフォーマンスに影響してしまうだなんて少し意外でしたね。

しかも、欠食した分を昼に補ったとしてもパフォーマンスは低下したということから、摂取量ではなくタイミングが重要だということがよくわかりますね。

もしも、指導している選手の中に朝食をしっかりと食べていない選手がいたとしたら、試合はもちろんですが、練習中のパフォーマンスを最適化するためにも朝食をしっかりと食べる習慣をつけさせるべきですね。

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