スポーツ現場において、どれだけトレーニングやケアをして体調管理に気をつけていても、選手が怪我をしてしまうことは中々ゼロにはできませんね。
選手が怪我をした場合
安静(Rest)
冷却(Icing)
圧迫(Compression)
挙上(Elevation)
を行う『RICE処置』が重要とされてきました。
しかし、近年では『RICE処置』ではなく
『PEACE & LOVE処置』が推奨されるようになっています。
PEACE & LOVE処置とは?
保護(Protection)
挙上(Elevation)
抗炎症を控える(Avoid anti-inflammatory modalities)
圧迫(Compression)
教育(Education)
&
負荷(Loading)
楽観視(Optimism)
血行改善(Vascularisation)
運動(Excise)
で構成された処置の方法です。
損傷直後には『PEACE処置』を実施し、翌日以降は『LOVE処置』を追加するという流れになります。
損傷直後のPEACE処置
①保護(Protection)
受賞後1〜3日間は関節運動を制限し、出血の最小化や組織損傷の拡大の防止を図ります。
ただし、Rice処置にあるような安静(不動&固定)は組織の構造的、力学的回復を阻害する可能性があるため最小限にする必要があります。
②挙上(Elevation)
患肢を心臓よりも高く挙上することで患部からの間質液排出を促します。効果についてのエビデンスは弱いのですが、デメリットもないため推奨されています。
③抗炎症を控える(Avoid anti-inflammatory modalities)
組織の回復にとって炎症は必要な反応です。
それを薬で抑えることは組織の回復にとってはマイナスになります。さらにアイシングに対しても軟部組織障害・損傷に有効であるという高い質のエビデンスはありません。
鎮痛の効果については有効であると報告されていますが、血管新生や血行を阻害したり、好中球やマクロファージ浸潤の遅延、未熟な筋繊維の増加も認められており、回復を遅らせる可能性が高いため不要な抗炎症の処置は推奨されていません。
④圧迫(Compression)
包帯やテープなどでの外部からの患部圧迫は関節水腫や組織の出血を制限する働きがあります。
⑤教育(Education)
能動的なアプローチのメリットを教育する必要があります。
翌日以降のLOVE処置
①負荷(Loading)
適度な範囲内の力学的負荷は早期からかけるべきであり、日常生活も再開させます。
メカノトランスダクションを通じて組織の治癒やリモデリング、強化を促進します。
②楽観視(Optimism)
精神状態は予後と関連があります。ネガティブな感情は回復を妨げることがあり、疾患に対する考えや感情が関係することが示唆されています。
③血行改善(Vascularization)
痛みのない有酸素運動を受傷数日後から始めることでモチベーションの向上、患部の血行改善が得られます。それにより復帰の支援や鎮痛剤の必要性低下に繋がります。
④運動(Excise)
運動は受傷後の可動域や筋力、固有受容器の回復に有効です。
まとめ
いかがでしたか?
今回は簡単な紹介だけですが、これが今の応急処置です。
特に大きく変わったのは「アイシング」と「安静」がなくなった点ですね。
冷やすことをやめて、数日後から動ける範囲でどんどん動かしていくということですね。
各項目のもう少し詳しい説明などはまた別の機会に紹介いたします。
EPochスポーツ事業部は常に新しい情報を取り入れて、効果的なケアやトレーニングをお届けいたします。
スポーツコンディショニングでお悩みの方はぜひご相談ください。