コラム

スプリント能力の高い選手の特徴

前回の記事で方向転換のお話をしましたが、今回は直線走の能力のお話です。 方向転換の能力は相手をかわす時に使う能力ですが、せっかくかわしてもその後に追いつかれていては意味がありません。 スプリント能力が高ければ相手を抜いた後に置き去りにしたりすることができます。 では、スプリント能力の高い選手はどのような特徴があるのでしょうか? 伊藤&木嶋が2006年に世界選手権の男子100mの出場選手を対象に、スタート後の歩数に伴う動作の変化を調べた研究報告があります。

 

疾走速度

スタート1歩目から歩数とともに疾走速度は増加し、記録の良い上位群はスタートダッシュの速度が高くなります。

ストライド

歩数とともにストライドは増加し、上位群ほどストライドは広くなる傾向にあります。

ピッチ(ケイデンス)

上位群の方がピッチ(ケイデンス)は低い傾向があります。

つまり脚の速い選手はストライドが広く、ピッチ(ケイデンス)が減少しないということになります。 しかも、そのストライドは歩数が増えるたびに広がっていくにも関わらずです。 ちなみに世界記録を持っているウサイン・ボルト氏は平均のストライドは244cm、瞬間最高速度を記録した地点では280cm、ゴールの瞬間の最後の1歩は300cmにも及んだと計測されています。

 

体幹の前傾角度


またスプリントでは加速期、中間期、減速期の3つに分けられ、加速期がスプリントに最も高く貢献していることが報告されています。(Tellez and Doolittle,1984) そして、この加速期は体幹前傾角度を深く取り、地面反力の方向を前方に傾けることが重要とされています。 また加速期はどんどん加速していきますが、ピッチが追いつかなくなると転んでしまうため限界点で身体が起きてきて中間期に入ります。

つまり、体幹の前傾姿勢を強くし蹴り足の推進力を強めるともに、その加速にピッチが追いつくように振り脚を素早く前方に運んでくる力が必要ということです。 *ピッチ数自体を増やす必要はありません。 それではこの加速期の強い前傾姿勢での走動作を獲得するにはどのような練習をすればよいのでしょうか?

 

ウォールプッシュ

①壁に身体を向けてランジの姿勢を作り、両手を壁につきます

②前脚を浮かせて壁を押します。

③後脚はどんどんと後方へ滑っていきます。

④転びそうになると浮かせていた前脚は転ばないように接地します。

⑤接地した前脚を後方に滑らせていき、後方にあった脚を前に持っていきます。

⑥①〜⑤を繰り返します。

 

まとめ

いかがでしたか? スプリント能力の高い選手の特徴はおわかりいただけましたでしょうか? 練習メニューも一部だけですが、ぜひお試しください。 もちろん、スプリントメニューを高めるための練習はたくさんありますので、スプリント能力を高めたい方はEpochスポーツ事業部にご相談ください。

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