コラム

1つの時代の終わり。松坂大輔投手の引退と指の障害。

10月も半ばになり、プロ野球もとりあえずペナントレースも終わりが近づいてきましたね。

シーズンが終わりになると訪れるのが・・・

戦力外通告

引退

ですね。

そして、今年は私と同年代くらいの野球ファンにとっては一つの時代の作った選手が引退をしますね。

そう。

松坂大輔投手です。

 

私が松坂投手を初めて観たのは中学3年生、松坂投手は高校3年生だったと思います。

某高校野球のテレビ番組で松坂投手のピッチングを観た時に

「うわぁ。こんなすごい球を投げるピッチャーがいるんだ。」と衝撃を覚えましたよ。

ストレートの威力もそうですが、スライダーの切れ味に「こんなの高校生に打てるわけないじゃないか。」と思いました。

 

「松坂世代」という名の黄金期の象徴。松坂大輔という伝説

松坂投手の世代は史上稀にみる名選手の宝庫。

杉内俊哉投手、和田毅投手、新垣渚投手といったホークスの3本柱は全員同い年。

他にも火の玉ストレートの藤川球児投手。

村田修一選手

小谷野栄一選手

といった主砲級の打者。

東出輝裕選手。

森本稀哲選手

木佐貫洋投手

久保裕也投手

館山昌平投手

久保田智之投手

永川勝弘投手

梵英心選手

とタイトルホルダー級の選手がこれだけ揃っている世代なんて見たことも聞いたこともないのではないでしょうか?

その中でも松坂投手は群を抜いた存在で

松坂投手の活躍というか伝説は皆さんもご存知ですよね。

 

他を寄せ付けない圧倒的なピッチング。

PL学園との延長17回の死闘。

決勝戦でのノーヒットノーラン達成。

プロに入ってからも、あのイチロー選手との初対決で3三振を奪い、高卒1年目でいきなり最多勝。

その後も最多勝、最多奪三振、最優秀防御率など数々のタイトルを獲得。

メジャーリーグに渡った後も1年目でいきなり15勝。

ワールドシリーズ優勝など輝かしい成績を残し続けました。

2009年のWBCでの優勝と最優秀選手を獲得した以降は怪我に苦しみ満足な投球ができないシーズンを過ごし、この数年は指の痺れにも悩まされ、最終的には「リリースの感触がない」という事態にまで陥り、手術をしても治らず、今回の引退となりました。

 

野球で指に痺れを起こす原因疾患

というわけで前置きは長くなりましたが、様々な部位の故障に悩まされた松坂投手でしたが最後の決め手になったのは最終的に球のキレやコントロールを左右する指先の痺れでした。

野球の怪我というと肘や肩が多いイメージだと思いますが、実は指の障害も多いんです。

松坂投手の場合は「リリースの感覚がない」とのことですから、人差し指と中指の痺れであることは想像に難しくありませんね。

人差し指と中指、特にボールに触れる指腹側というのであれば

手根管症候群

が考えられます

小指以外の指・・・特に親指~中指にかけての感覚に関係する正中神経というものが手根管という手首にある腱鞘のところで正中神経が圧迫されて痺れや痛みを起こす障害です。

投球では脚から生み出された力がどんどんと大きくなりながら最終的に指という小さい部位に集まるわけですから指や手首には非常に大きな負担がかかります。

 

2つ目は末端の血行障害です。

上記のように投球では最終的に指に大きな力が集まります。

そのため、指の組織は長年の投球でダメージを受けて、血行不良を起こしてしまい痺れを起こします。

 

3つ目は胸郭出口症候群です。

胸郭出口症候群は大きくわけで斜角筋症候群、小胸筋症候群、肋鎖間隙症候群(鎖骨下筋症候群)の3つがあります。

ピッチング動作ではコッキング期からリリースまでの間に胸を大きく張って、腕をしならせ、腕が大きく遅れていくような場面があります。

その時に胸郭出口の部分で各神経が何度も圧迫や牽引を受けて、痺れや痛みを起こしてしまいます。

 

4つ目は頚椎疾患です。

野球というのは意外にも頸に負担がかかります。

ピッチングでいうなら右ピッチャーの場合、常に投球側を向いているわけですからピッチング動作の中で頸部の左回旋位からリリースにかけて体幹が左回旋してくるのに合わせて反対側、つまり右回旋をしなくてはなりません。

それ以外にもあれだけダイナミックな運動をしていく中で頭部を平行に保つ必要があるわけですから、頸部への負担も大きくなるのはわかりますよね。

今回、松坂投手は頸部の手術を行ったことから、この頚椎疾患が原因だと考えられたのでしょうね。

ちなみに示指と中指の痺れということならばC7の障害の可能性が高いですね。

 

痛みや痺れの臨床では鑑別が命。

いかがでしたか?

野球で起こる指の障害は大きく分けてこれらの原因が考えられます。

痛みや痺れの臨床では何が原因かを鑑別することが肝になってきます。

レントゲンやMRIといった画像所見だけでわかることは多くないですし、医師がいてレントゲンやMRIをすぐに撮れるといった恵まれた環境ばかりはないのでスポーツの世界。

そのためには様々な整形外科テストを駆使して鑑別する必要があります。

それらを全て紹介していると大変なボリュームになってしまうので今回は紹介しませんが、特殊な検査ではありませんので、松坂投手を担当するレベルのトレーナーや医師であればそれらを見逃すなんてことはないと思います。

なので、今回の松坂投手の障害の原因は頚椎疾患で間違いなかったと思います。

学生時代から伝説級の死闘を繰り広げてきて、身体のあらゆるところを痛めながら約20年戦ってきたわけですから、最終的に全ての負担が頸にきてしまったのは仕方ないことだったのかもしれませんね。

もちろん、怪我なく競技人生を終えることができるのが理想ですが、一般人では考えられないほどの負担をに耐えながらボロボロになるまで続けた姿はやはりプロの姿でしたね。

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